CLOUD / run through

昨日で通し稽古は6回目である。
僕は通し稽古が多い演出家だと思う。
かなり早い段階から、シーンをつなげて稽古をする。
役者の中には、もっとディテールをはっきりさせてから流さないと無意味だと考える人もいるとは思う。
納得するまで、シーンをくり返し稽古したい人もいることだろう。
それでもどんどん流す。
スタッフも大変である。
気が抜けないことだと思う。
当然のことながら、流して稽古をしている間、ダメ出し、話し合いは、基本的にない。
僕は見ているだけである。
ただやらせておくだけで芝居ができるのか、と多くの方々が疑問に思われるようだが、芝居はできる。
主に、河合隼雄先生の本を読むことで現在の演出方法に至ったのだが、この方法を考えつくまで、ほぼ3年間かかった。
実践してみて、とても難しいことだということを思い知らされた。

「見ているというのはなかなか大変なんですね。何かするよりも見てる方がエネルギーが要るんですよ」(河合隼雄

それでも、十年に渡ってこの方法をやり続け、今ではかなり確信を持てるようになった。
いずれ、この演出法の詳細を書いてみようと思っている。
ところで、昨日の通し稽古は面白かった。
自分で脚本を書いたにもかかわらず、役者の演技を見て、頭の中が掻き回されるようだった。
この仕事をしていて得られる至福の時間。
それをまた味わうことができた。
稽古は残すところ明日だけ。
いよいよ劇場入りである。
早く舞台組んで照明入れて芝居を見たい。