CLOUD / songs

この数年、音楽はオリジナルや生演奏でやらせてもらえることが多かったので、選曲の機会は以前に比べて減ってきた。
だが、今回の音楽は選曲である。
これまで選曲をする場合は、すべて自分で選んできた。
というより、作品構成を考えるときにすでに候補曲リストがあって、脚本を書きながらもそれを聴き続け、イメージを膨らませている。
メインテーマやオープニングで使いたい曲は、iTunesの再生回数が50回とかになっている。
それは曲をフルで再生した回数で、途中まで聴いて曲頭に戻すこともかなりやるので、常に頭の中で鳴っている感じである。
稽古初日には、使う曲の7〜8割はすでに決まっている。
よく「音楽に頼るな」というようなことも言われるが、僕は音楽に頼り切って芝居を作っているのかも、と思えるくらいである。
オリジナル曲でやる場合も、イメージ曲リストを作って、同様のことをやっている。
稽古で曲をかけると、言葉では伝えにくい微妙な演出意図が、あっという間に理解されたりする。
音楽の力は絶大なのだ。
特に今回は音楽に強いキャストが揃っている。
音楽や音へレスポンスが素晴らしくいい。
体がすぐに音楽に相応しい動きをするし、感情があっという間に高まる。
曲をかける甲斐がある。
僕は常々、芝居全体が一つの音楽のように演じられることを目指している。
リズムとテンポ。
僕の中で、芝居と音楽とサッカーはこの点で同じものなのである。