CLOUD/voice

僕は声がいい役者が好きである。
今回も素晴らしい声の持ち主に集まっていただいた。
"声がいい"というのは、明確な基準があるわけではないので、かなりの部分個人の好き嫌いによるところがあるのだと思うが、今回の本読みを聞いていて、舞台監督が「いい声大会ですか」と言ったくらいだから、かなり一般性は高い"いい声"なのだと思う。
トモロヲさんとヨタロウさんが、動かずに短いフレーズのやりとりをするシーンなどは、今の段階ですでに深みを感じてしまう。
きっとご本人たちは、この時期であるから、覚えたセリフを外に出すことに一番の気を遣っているだろうと思うが、その声を聞いていると文字で見る以上の何かを感じてしまうのである。

オガワ「今、どこにいる?」
アマリ「どこにも」
オガワ「どこにも?」

こんな会話でもなんだか泣けたりするのである。
そんなとき、つくづく僕にとって演劇は聴覚のメディアであるなあと思う。
見た目が重要であるのは大前提で、心の奥深くに侵入してくるのは、僕の場合"音"なのだ。