110602 CLOUD

37歳で『LYNX』再演した後、演劇活動を休止して3年間休んだ。
2001年に『欲望という名の電車』で復帰し、毎回上演台本は作成していたが、40代は演出に専念した。
ジャンルもテイストも、自分でできそうだと思う作品には、すべて手を出した。
その間、オリジナルは、佐藤アツヒロと組んだ『LYNX』『MYTH』『HYMNS』の3本。
僕は作家ではない、という認識が強くある。
演出したいので、上演台本を書き続けたようなものである。
だが、演出に専念できるようになったらなったで、今度はオリジナルを作りたいという衝動が激しく起こる。
そして、演出家の自分からは想像もつかないほど、間口の狭い世界観に支配されたテキストが書かれる。
僕は、ZAZOUS THEATERを始めた頃から、同じ芝居をリメイクし続けているのかもしれない、と思ってしまうほどだ。
トモロヲさんに、「でさ、スズカツ、この芝居のテーマは何?聞かれたときに、バシッと答えられるようにしときたいんだけど」と質問され、口をついて出たのは、「コミュニケーションとディスコミュニケーション」だった。
それに「記憶」が絡まれば、僕の芝居のほとんどは説明できる。
でも、わかりやすく説明するのが苦手なので、ああでもない、こうでもない、と遠回りをして、余計わかりにくくしているのかもしれない。
まさに、『動物園物語』ジェリーの犬の長ゼリである。
『CLOUD』ももちろんその流れの中にある作品で、当然のことながら、いきなりウェルメイドのコメディになったりはしないのである。