『女ひでり-番外地には春の嵐-』2

芝居が終わると打ち上げがある。
当時劇研の打ち上げは、アトリエで行われた。
客席にする畳を敷き詰め、平台をテーブルがわりにして、その上にホカ弁の惣菜と、差し入れでいただいた日本酒が並ぶ。
乾杯からしばらくはビールがあるが、ほとんどは常温の日本酒、しかも二級酒をただただ飲み、芝居の感想、反省、ダメ出し、批評、批判、ケンカが朝まで続く。
そして、ギター伴奏による歌が、それこそ一人一人に回ってくる。
ギタリストは、OT田さんと大高さんが担当していて、ほぼどんなリクエスト曲にでも伴奏をつけることができた。
しかも、かなり酔っていながらである。
この打ち上げコンパの雰囲気は、かなり普通ではない。
馴染めない人にとっては地獄である。
僕は、あっさりとその中に入ることができた。
ビール一杯で酔うことができたし、その酔いがずっと続きながら、飲み続けることができる体力があったからである。
言ってみれば、酔った者勝ちの世界なのである。
この打ち上げコンパで、僕はさらに劇研に深入りし、酔っ払いの世界にも深入りしていくことになった。
さらに、この『女ひでり』の公演後には、さらに新入生をダメな道に引きずり込むような、熱海一泊旅行の特別打ち上げが待っていた。