吉田紀之、現在はヨシダ朝。
名前の確認のために所属事務所の公式ページをのぞいて見ると、開けた途端に吉田の顔がアップで飛び込んできた。
http://www.clioneinc.com/profile/yoshida.html#prof
相変わらず凄いインパクトの顔だ。
一度見たら忘れられない。
しかも、入会してきたときの吉田は、あの顔にパンチパーマだった。
かなりヤバイ。
仲良くするにこしたことはない。
無口なので、ほとんど話もしなかった。
劇研同期で、一番最初に入会したのは高泉淳子である。
彼女は1学年上で春休みに入会していた。
次が、入学式の日に入会した僕。
多分、吉田はその次に入会してきたように記憶している。
入会して何日か経った頃、先輩から居酒屋バイトのトラに入ってくれないかと頼まれ、吉田はそれを引き受け、そのままいなくなった。
次に吉田にあったのは、文学部のトイレだった。
珍しく授業に出た僕が休み時間にトイレへ行くと、パンチパーマが伸びちゃったのか、アフロヘアの吉田がいた。
相変わらずインパクトのある顔だから、すぐにわかった。
一度見たら忘れられない、のだ。
「吉田くん、だよね」
「ああ」
「もう劇研やめちゃったの?」
「そろそろ戻ろうかなと思ってる」
そのころ、僕の同期、特に男子の劇研定着度がすごく低く、人手がほしいところだったので、僕は吉田に「戻って来いよ」と誘った。
そして吉田は、春の公演3本とも終わってから、つまり新人が一番兵隊として働かされる時期を丸々スルーして、新人公演への練習に入る頃に戻ってきた。
一度いなくなっていたから、戻ってきたときは、みんなに喜ばれた。
しかも、バイトに入れた先輩も気を遣って吉田にやさしくしてたし、授業には出られたし、ある意味、うまくやったのではないだろうか。
ただ、最初の雑用係を経験しなかったので、吉田はスタッフワークが誰よりも苦手だった。