女中たち3

舞台は基本的に黒くして、ティッシュペーパーの花をチープに飾り付けた。
舞台下手奥に劇研に古くからある姿見を、メインオブジェとして利用した。
この姿見は、割れてしまったのをテープで張り合わせ、黒塗りの木材仕様の手作りの枠に嵌めこまれていたのだが、動かすのに3〜4人の人手がかかるかなり存在感があるものだった。
ラストで、この姿見に照明を集め、その反射光で客席に目潰し効果を出そうと思っていたのだ。
小劇場のラストと言えば、屋台崩しと目潰し照明。
あとはスローモーションでもやっておけばどうにかなった。
でも、ただ目潰しの照明を仕込むのも芸がないので、鏡を利用することにしたのだ。
そのかわり、直接光源が目に入るのに比べると光が弱いから、そこに多くの照明機材を使わなければならなかったので、芝居部分の照明はかなりシンプルに作ることになった。
照明は、偶然にも僕と中学・高校・大学が同じという、後輩の小須田康人第三舞台)に手伝ってもらった。
小須田は中学高校と物理部にいたので、まったく面識がなかった。
劇研に入ってきて、はじめて同窓だということを知った。
小須田は役者志望であったが、物理部出身だけあって電気関係に強かったので、早くから照明スタッフとしても目をつけられていた。
小須田と同期の安田雅弘は、稀有な才能の役者であったが、経済に強い関心があり、制作にも積極的に関わろうとしていた。
そこで、安田には制作を手伝ってもらうことにした。
というのも、ゆくゆくは、小須田と安田雅弘(第三舞台山の手事情社)の二人もLRBに巻き込むつもりだったのだ。
音響に関しては、できるだけ音楽を使わないことにして、最終的に何の曲を使ったのか、まるで記憶がない。
すべての芝居で使用した曲を、ほとんど記憶しているのに、なぜか『女中たち』での使用曲が思い出せないのだ。
だから、使わなかったんじゃないかな、と思っているのだが、どなたか記憶がある方がいらしたら教えていただきたい。