ZAZOUS THEATER 02

当時も小劇場界はオリジナル全盛だったが、年間6本のオリジナル作品を作るのは至難の業である。
3本が限界。
そこで、あとの3本は別の誰かに作ってもらうことにした。
ただ、当時はギャラなど払えるような経済状態ではないので、「リスクはZAZOUS THEATER=suzukatzが持つので、やりたい企画のある人はやってみませんか?」という言葉で誘った。
その誘いに乗って、早大劇研の同期だった吉田紀之(現在は朝)が一人芝居を2本。
後輩の柳岡香里渡辺育子のオリジナル『Play The Virginal』。
そしてなんと、池田成志が僕をブランチにして、男だけでテネシー・ウイリアムズの『欲望という名の電車』を演出したいと言ってきたのだ!
さらに、勝村政信がとにかく何かやろうと言ってくれた。
勝村とはイヨネスコの『授業』をジアンジアンでやり、続いて松重豊、大石継太を巻き込んで『LYNX』へと繋がっていった。
こののちZAZOUS THEATERは、僕のオリジナル構成劇を上演するユニットになってしまうのだが、実はここに僕の演劇に対するあり方の原点があったのだ。
僕が認める実力の持ち主が、やりたいことを自由にやれる場としてのZAZOUS THEATER。
それは場合によっては演劇である必要もない。
ただし、参加者は全員がプロであること。
あまりにも順調に理想的な状態で演劇活動が進んだ。
芝居を作ることが純粋に楽しかった。
問題があるとしたら、誰もギャラをもらっていなかったことである。
そして、それをクリアするノウハウを僕はまったく持っていなかった。