鈴木勝秀(suzukatz.)-130911 
/ウエアハウス vol.2

鈴木勝秀(suzukatz.)-130911

/ウエアハウス vol.2
2013年9月11日 (水) 19:00 open 19:30 start
予約/当日 2,500円(1drink 付)

出演:陰山泰 菅原永二 ファルコン(guitar)

ウエアハウス』vol.2

音楽において譜面や録音媒体に記録されたものが絶対なわけではない。演奏者が変われば、同じ曲でも違う作品となることは、ほとんどの人が知っている。特にジャズのような、インプロヴィゼーションを主体とした演奏では、同じ演奏をくり返そうとすること自体が、ジャズという音楽を裏切ることになる。本来音楽とは、"一期一会"の表現形式なのだ。
同様に、すべてのパフォーミング・アーツは、必然的に一回性のものである。だが日本における"西洋文化としての演劇"では、当初文学的教育を目的として導入されたこともあり、テキスト(戯曲/台本)重視の傾向が長く続いている。「どういう話だったか」が中心に語られ、「どういうグルーブだったか」はあまり語られない。劇作側でも、あたかもテキスト(戯曲/台本)に書かれていることが絶対的で、テキストに忠実に(!)に演じることが優先されてきた。結果として、なるべく同じことを再現しようと躍起になっているかのようですらある。
しかし、パフォーミング・アーツの最良の楽しみ方は、現在目の前で行われている表現に、目を凝らし、耳を傾けることにある。
ウエアハウス』は、一つのテキストを異なるキャストでセッションする試みである。名乗りを挙げてくれる俳優が尽きるまで続けるつもりである。

今回は陰山泰菅原永二、『7DOORS』親子コンビの登場である。
配役は現段階では明かさない。
前回ご覧いただいたかたには、キャストが変わると、どれだけ作品の印象が変わるのかを実感していただけると思う。もちろん、今回初めてのかたでも、何の問題もない。まちがいなくスリリングなセッションが展開されるはずであるから。

(テキストについて)
僕はZAZOUS THEATER時代に、十年くらいかけて『動物園物語』を書き直し、『ウエアハウス』としてやり続けてきた。
ウエアハウス』の中の次のセリフは、僕自身のことだ。

トミヤマ「年季入ってますねえ(この本)」
サトウ「同じ本を何度も読むのが好きなんです。中でもそれが一番好きだな」
トミヤマ「すごい書き込みだなあ」
サトウ「自分用に書き直したりしたんです。自分のものにしたかったから」

ライブパフォーマンス『ウエアハウス』のサブタイトルを並べると、「ウエアハウス」「地下」「REST」「Noise」「Error」「period」。そのほかに、CDとかインスタレーションとか5分くらいの映像、ワークショップの発表会、勉強会......『動物園物語』それ自体も、一度だけPARCO劇場で上演した。
そして、2011年の演劇集団円で上演した「circle」に到達した。現在やっている『ウエアハウス』の原型である。
サラヴァ東京版は、登場人物が八人だった「circle」を、二人用に書き直したものである。今後は、このテキストを様々な演者(俳優だけとは限らない)にやってもらうことによって、テキストとしての強度を上げて行きたいと考えている。

(音楽について)
同時に、毎回ミュージシャンを招いて、このテキストからインスパイアされた音楽を生演奏していただこうと企画している。どれほどヴァリエーションに富んだ演奏に出会えるのか、とても楽しみである。音楽版『ウエアハウス』の今後にもぜひ注目していただきたい。
鈴木勝秀(suzukatz.)