ZAZOUS THEATER 01

iMacを購入したあたりで、僕はZAZOUS THEATERの主宰者を辞めて、芝居を3年間休んだ。
ZAZOUS THEATERでの最後の公演は『LYNX』の再演だった。
ちょうど、ZAZOUS THEATERを始めてから十年が経過していた。
ZAZOUS THEATERは劇団ではない。
最初からプロデュースユニットとしてスタートした。
それは単に僕が劇団というものに馴染めなかったのでそうしたのであって、後のプロデュース公演ブームを先取りしたわけではない。
表現者個人事業主であれ!というより、会社経営とか集団運営に向いていないのである。
サッカーが好きだったり、作っているのは芝居なわけで、大変矛盾するとは思うが、僕は基本的に個人作業が好きなのである。
僕はだいたい3年計画でいろいろなことを考えている。
ZAZOUS THEATERを始めたのは、27歳のときで、それは30歳のときに、ある程度小劇場界で名前が知られている存在になるためには、3年くらいは時間が必要だと思ったからだ。
そのために、最初の3年間は、ZAZOUS THEATERという名前のつく公演を、年に6本ずつやらなければならないと考えた。
「ぴあ」に毎号ZAZOUS THEATERの文字が載っていることを目指したわけである。
ついに休刊することになったようだが、当時「ぴあ」の影響力は凄まじかったのだ。
ZAZOUS THEATERという命名の由来は、ボリス・ヴィアンを代表とするZAZOUとTHEATERによる僕の造語というのが一番正確ではあるが、"読みづらい"というのも同様に正しい。
最初は読めないが、ザズゥという読み方を一度覚えてしまえば、THE ZOO(僕の最愛の戯曲、オールビーの『動物園物語』を連想させる)と同じ発音だし、結構印象に残る綴りであると思ったのだ。
ちなみに、ZAZOUにSをつけてZAZOUSとしたのは、"見た目"がいいからである。
さらに小ネタを入れれば、ヨタロウさんがメトロファルスのデビューアルバムに『Pipi Zazou』と命名していたのはまったくの偶然。
ただ、現代の日本、東京に生息し、Zazouという単語に行き当たるのは、それだけ似たようなものを好んで来たという証拠であることは間違いない。
というわけで、ZAZOUS THEATERは年間6本を目標にスタートした。