iMac02

最初のiMacはスマートローンで買った。
購入店は横浜駅ビックカメラ
郵送にかかる時間が待てなくて、バスで持ち帰って、さっそくセッティングを開始した。
ボンダイブルーの例のヤツである。
ちょっとデカイ。
机の上は完全に占領されてしまう。
けど、きれいだ。
本体もキーボードもケーブルも本当に美しい。
そこで、あえてiMacが部屋の中心にくるように模様替えをした。
電源を入れる。
あのMacの起動音……そして画面はフルカラー!
なんだか、新しい時代が始まった、くらいの気持ちになった。
さあ、さっそくインターネットにつないでみよう!
それこそが未来、未だ体験したことのない世界!
だが、思わぬ落とし穴が……
クレジットカードを持っていなかったので、プロバイダーと契約できなかったのだ。
マヌケな話だが、本当のことである。
大学を途中で辞めてから、一度も就職したことがなく、運転免許証もクレジットカードも持っていなかった。
かろうじて持っているのは、電話と銀行の預金口座だけ。
実家に生息していたし、社会身分的には、父親の扶養家族のまま生きていたのである。
困ったものである。
そこで、まずはクレジットカードを作ることにした。
しかし、なかなか審査を通らない。
当時、すでに「世にも奇妙な物語」とかを書いてはいたのだが、フリーで演劇なんぞをやっている人間の社会的信用は限りなくゼロに近いのだ。
結局、口座のある銀行のカードにVISAをつけてもらうまで2週間以上もかかった。
そのあいだ、iMacは見た目の素晴らしいワープロとしてしか機能しておらず、唯一コンピュータらしく使えたのは「ナノザウルス」をやることであった。
ひたすらやり続けた。
そして、ネットの設定・接続にほぼ1日くらいかかって、ようやくダイヤルアップで繋がったときには、何か大仕事を成し遂げたような達成感があった。