LYNX→CLOUD

30歳のときに『LYNX』を作り、それをこれまで3回キャストを変えて再演してきました。自分では『LYNX』を代表作だと思っておりまして、ときどき思い出したり、考え直したりします。
オガワという主人公は、初演と二度目のラストで拳銃自殺をしたことになっているのですが、3回目の上演台本では、ドラッグのオーバードーズで死んだことになっていました。
そして上演に際しては、眠っているのか死んでいるのか、よくわからない演出にしました。
というのも、3回目は初演から15年ほど経っていて、自分の中で自殺はイカンのじゃないかなあ、という気持ちが強くなっていたのです。
そのころ自分の中で、年間3万人もの人が自殺をする異常さが、非常に気になっていました。
ほとんどが紛争、局地戦となった現在、戦争でも3万人が死ぬことはほとんどありません。
それなのに、毎年、交通事故死を上回る数の人間が自ら命を絶つのは、どう考えても異常なことです。
現在を生きる日本人として、自殺を美化して描くことはどうしてもできない、というのが僕の結論でした。
自殺問題は相変わらず解決の道が見えてきません。
やっぱりオガワに自殺させちゃイカン、という気持ちは変わりません。
僕は『LYNX』の初演から20年を生き抜き、50歳を越えました。
もし、オガワがあのとき死んでいないくて、50歳になったらどんなことを考えているだろう。
『CLOUD』はそんなことをきっかけに構想に入りました。

ここは、普段AARDVARK15としてサッカーのことばかり書いている鈴木勝秀(suzukatz.)が、次回作『CLOUD』だけではなく、演劇関連のことを少しは書きながら考えてみてはどうだろうか、ということで始めました。
本来なら、閉ざした中でやっていればいいようなことですが、ちょっとオープンにしてみるのも面白いかもしれない、という程度のものです。
同時に、Twitterの@ogawacloudで、オガワになってつぶやいています。