「Mogut=Yellow Submarine?」
まだコロナ禍になる前、原作を読んで僕が一番最初に考えたのは、「Black Lives Matter」についてだった。そして、キング牧師とマルコムX。
鈴木舞さんの原作『ハリネズミホテルにようこそ』は、子供向けのハートウォーミングなファンタジーで、政治的主張が強い作品ではもちろんない。しかし、ある著作物は発表された瞬間に著作者の手を離れ、読者のものになる(著作権は別)と僕は考えていて、僕はそのように原作を読んだのだ。
いよいよ舞台化するにあたって、キャスティングが進み、主役のモグーに、塚田くんが起用されることになった。僕にとって3人目のABC-Z。
今度は俄然、明るく、ナンセンスな芝居を作りたくなった。ビートルズのアニメ映画『イエローサブマリン』ような、そんな芝居を作りたいと思った。
同時にコロナ禍の現在、それを無視することはできない。演劇は、現在と結びついていなければ、意味はないからだ。
そんなことをあれこれ考え、稽古で試していたら、こういう芝居ができあがった。
劇場に足を運んでいただき、本当に感謝しております。
観客のみなさんがいる限り、演劇の灯は消えたりはしないと信じております。
どうぞ、ごゆっくりお楽しみください。
鈴木勝秀(suzukatz.)