『R&J』lyrics

『R&J』lyrics

M1-a:No Future/ピノキオ

Don't be told what you want
Don't be told what you need
Don't be told how you live
Don't be told how you love

未来なんかない
聞きたくもない
There's no future, boy
未来なんかない
知りたくもない
There's no future, boy
There's no future, boy
There's no future, boy

(間奏)
I don't see the future, men

未来なんかない
ほしくもない
There's no future, boy
未来なんて暗い
ツライだけじゃない
There's no future, boy
キライなんじゃない
笑っちゃうじゃない
There's no future, boy(laugh)


M2:Let's Rock Through My Life Together/ロミオ

ラ、ララ、ラララ、ラララ~
ラ、ララ、ラララ、ラララ~

 

偽善政治の張本人
水爆並みにやばいヤツ
しょせん戦士は消耗品
最悪ツメの甘いヤツ
神よこいつを救いたまえ
神よこいつを救いたまえ

 ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's dance through the night together
ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's rock through my life forever
ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's dance through the night together
ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's rock through my life forever

 

美談大好き善良で
疑いなしに笑うヤツ
しょせん市民も消耗品
生き残れたら乾杯か?
神よヤツラを救いたまえ
神よヤツラを救いたまえ

ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's dance through the night together
ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's rock through my life forever
ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's dance through the night together
ラ、ララ、ラララ、ラララ~
Let's rock through my life forever


M4:Welcome to The Masquerade Ball/キャピュレット

(セリフ:キャピュレット)
「Ladies and gentlemen, welcome to our party tonight!
 It is a great honor and pleasure to welcome you here tonight.
 Thank you for coming!
 Please make yourself comfortable.
 How's everybody doing out there tonight?
 I can't hear you!
 You all having a good time or what?
 OK.
 Now it's time to start the party.
 I hope you'll enjoy this special night!
 Let's go!」
*キャピュレットの歌は、基本的にソウルフルに、アドリブっぽく。
(Yeah, Com'on, Alright, Sing along, Bring it on, Here we go)

 

(Oh ho)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~
(Oh ho、踊りましょう、歌いましょう)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~、カモン!
(Oh ho)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~オーライ!
(Oh ho、食べましょう、飲みましょう)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~
(Oh ho)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~
(Oh ho、踊りましょう、歌いましょう)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~
(Oh ho)
オ~、イエ~、イエ~、イエ~
(Oh ho、食べましょう、飲みましょう)

 

仮面の裏 欲望の罠 揺れる
背く理性 ジれて 溶けてく

 

かおをカクして ハメをはずして
ムネをはだけて こころヒラいて
うでをマワして クビをまわして
かたをマワシて サラもまわして
あしをカラめて シタをからませ 
のどをウルおし こえをカスらせ
まなざしユレて ドレスひろげて
マタをひらいて ミミにかみつき
ケアナひらいて ゆびでかきマゼ
あそこカクして おしりマルだし
ウナジなめあげ クチビルかんで
せなかツメたて ひふをヤブって
メダマとびだし コブシにぎって
ドウトクわすれ リンリをすてて
ミダラにわらい ユエツにないて
ノウミソゆらし からだカンじて

(Oh ho)
(Oh ho、踊りましょう、歌いましょう)
(Oh ho)
(Oh ho、食べましょう、飲みましょう)
(Oh ho)
(Oh ho、踊りましょう、歌いましょう)
(Oh ho)
(Oh ho、食べましょう、飲みましょう)
(Oh ho)
感じて 感じて 感じて 感じて……
感じて 感じて 感じて 感じて……
(Oh ho)

 

顔を隠して 名前忘れて
本能のまま おのれさらして
今宵一夜は 無礼講
どんな悩みも BREAK OFF(ブレイコフ)!
仮面舞踏会へ ようこそ


M6:Beautiful Garbage (Who am I suppose to be ?)

/ヘレナ&エヴァ

わたしの一部になりたいの?
(絶対よ、絶対)
わたしは安売りしてないわ
(絶対、してない)
わたしはだれ?

わたしの名前を知りたいの?
(絶対よ、絶対)
わたしは名前なんてないけど
(絶対、ないけど)
忘れちゃった

 

ダンサー、ウエイトレス、モデル、売春婦
美しいゴミくず
ロッカー、パンク、俳優、色男
美しい廃棄物
ああ もうただの オンナでいい

 

あなたの全部になりたいの
(絶対よ、絶対)
あなたをわたしにしてやるわ
(絶対、してやる)
あなたはだれ?

わたしの一部になりたいの?
(絶対よ、絶対)
わたしはあなたになりたいの
(絶対、なりたい)
ア~ア~ア~
死んでもいいくらい

 

ダンサー、ウエイトレス、モデル、売春婦
美しいゴミくず、
ロッカー、パンク、俳優、色男
美しい廃棄物
ああ もうただの オトコでいて


M7:Love At First Sight/ロミオ&ジュリエット

Do you believe in love at first sight?
一目惚れを信じられる?
ひと目会った その日から
恋の花咲くこともある

恋なんて 気がふれたようなもの
ウエディング・ベルは ゴルゴダの丘
誓いの口づけ 交わしたからは
死ぬまで一緒 墓場まで

(まるでショットガン)
前世で出会い
(目と目が合ったなら)
来世で結ばれる
(もう逃げられない)
それには現世で 一目惚れ
恋の三段論法
ラブ・アット・ファースト・サイト!

(まるでショットガン)
前世で出会い
(目と目が合ったなら)
来世で結ばれる
(もう逃げられない)
それには現世で 一目惚れ
恋の三段論法
ラブ・アット・ファースト・サイト!

Do you believe in love at first sight?
一目惚れを信じられる?
ひと目会った その日から
恋の花咲くこともある


M8:The Reason/ヘレナ

I remember when she was young,
No just a baby, baby girl
千年経っても 覚えてる
あの子が乳離した あの日のことを
私はニガヨモギ 乳首に塗って
あの子に ムリヤリ吸わせた
苦しかったんでしょう むずかってあの子は
あたしをにらみつけた

まるで 昨日 回る 記憶
それが今じゃ、オゥオゥ

Romeo loves Juliette, oh Juliette
And the reason is Juliette, yeah
時が経つのはあっという間
Juliette loves Romeo, oh oh
And the reason is Romeo, yeah
時が経つのはあっという間

And the reason is Juliette
And the reason is Romeo


M12:The Fence/ティボルト、ベンヴォーリオ

(ティボルト)
この世界には巨大な
フェンスがある
敵と味方を分ける
フェンスがある
ここに立ち 守らなければ
平和な暮らし 保てない
いいとか悪いの 話じゃない
現実にある

(セリフ:ティボルト)
「この世界には 敵と味方を分断するフェンスがある。
 いいとか悪いとかの話じゃない。
 現実にフェンスは存在するんだ
 そしてそれを誰かが守らなければならない。
 誰が守る?
 おまえか?おまえか?おまえか?
 私はとてつもなく重大な責任を負っているんだ。
 おまえたちが決して担えないような責任だ」

(コーラスとセリフ)
ラ、ラララ~(おまえたちは、実にお気楽だ)
ラ、ラララ~(何も知らないからこそのお気楽さだ)
ラ、ラララ~(フェンスを!)
ラ、ラララ~(守るんだ!)
ラ、ラララ~(フェンスを!)
ラ、ラララ~(守るんだ!)
ラ、ラララ~

(セリフ:ティボルト)
「いいか、よく聞け!
 おまえたちから見たら、理解に苦しむ、怪物のような私が、善良な市民の生活を守っているんだ!
 おまえたちはこの私を必要としている。
 フェンスの上に立つ私を必要としているんだ。
 我々は、『誇り』『規律』『忠誠』を大事にする。
 その言葉で国を守っている。
 おまえたちはそれを笑いモノにした。
 そんなヤツが自由をよこせだと?
 ふざけるな!
 いいか、よく聞け!
 私が与えてやった自由の毛布にくるまって、のうのうと寝てるおまえらに、本来は何も言う権利はない。
 黙って、感謝だけしてろ!
 それがイヤなら、守りに立て!
 我々の仲間になれ!」

(ベンヴォーリオ)
この世界にはバカげた
フェンスがある
家畜を囲うような
フェンスがある
今すぐに 壊さなければ
永遠に 出られない
このままで いいわけがない
現実にある

(セリフ)
  ティボルト「誰だ、おまえ?」
ベンヴォーリオ「誰だっていい!」
  ティボルト「ロミオはどうした?」
ベンヴォーリオ「知るか!」
  ティボルト「おまえら家畜の大将だろ?」
ベンヴォーリオ「黙れ!」
  ティボルト「噂通り、女に入れ込んでメロメロか?」
ベンヴォーリオ「……!」
  ティボルト「おい、何とか言えよ。何とか言え!」
ベンヴォーリオ「……」
  ティボルト「聞こえないのか!このクズが!」

(コーラス)
ラ、ラララ~(フェンスを!)
ラ、ラララ~(守るんだ!)
ラ、ラララ~(フェンスを!)
ラ、ラララ~(守るんだ!)


M15:Melt Into The Night/ロミオ&ジュリエット

あなたのいない ここは闇夜 光なく閉ざされ 
音も聞こえず まるでこの世 一人だけ残され

もし 許されれば
ここから出て
もう一度 逢いたい

もし 神がいれば
生まれ変わり
自由に 愛したい

(ロミオ)
せめてもう一度
(ジュリエット)
愛し合いたい
ロミオとジュリエット
せめてもう一度だけ

あなたのいない ここは闇夜 光なく閉ざされ 
夜に溶け込み 消えてしまう それだけが望み……


M17:Everlasting Life(ブラームス交響曲第3番第3楽章)/ジュリエット(アカペラ)

 

氷のような 花が落ちる
命尽きて また蘇る
果てしなきものを求める

 

わたしのいのち かぎりあるから
知ろうとした 永遠の歌
地上ではできないことを


M19:Love Never Dies/ロミオ

穴の空いた靴で
雨のなか 歩きまわって
傘もささず 濡れたら
涙でも 消せるだろうか

 

答えのない人生生きて 何もわからず 何も知らず
迷いだらけの人生生きて 苦痛に耐え
救いのない人生生きて 何も得られず 報われず 見えず
なぜ神は沈黙したままなのか?

 

窓の外で声が
出し抜けに 響き渡って
死は終わりじゃない 始まりだと
告げて消えた

 

人は臨終(いまわ)の際(きわ)に 心が浮き立つという
それを死の前の稲妻と 看取る者は呼ぶ
死神もまだ来ていない まだ征服されていない
この体からくびきをはずそう

 

Love never dies even (if) my life is ended here by myself for Love
(Love) never dies even (if) my life is ended here by myself for Love
(Love) never dies even (if) my life is ended here by myself for Love
(Love) never dies even (if) my life is ended here by myself for Love

(Love, Love, Love,Love, Love)
(Love, Love, Love,Love, Love)
(Love, Love, Love,Love, Love)
(Love, Love, Love,Love, Love)
(Love, Love, Love,Love, Love)
(Love, Love, Love,Love, Love)

 

M21:Without A Word/吾郎(music & lyrics:大嶋吾郎)

I Don’t need the sun to light my days.
(僕の日々を照らす太陽はもういらない)
I Don’t need the stars to guide my way.
(夜の道を照らす星たちはもういらない)
I can tell the world All I need is You.
(僕はここに宣言する、必要なのは君だけ)
I Don’t need to stop and waste my time.
(立ち止まって時間を無駄にすることはもうない)
I don't need the lies to live my life.
(そして生きるためのうそはもういらない)
Ii can tell the world All I need is You.
(僕はここに宣言する、必要なのは君だけ)

You Don’t have to talk
(だから君はもう話さなくていい)
Don’t have to walk.
(もう歩かなくていい)
Don’t have to touch.
(もう触れなくてもいい)
Don’t be afraid.
(怖がらなくていい)
We’re gonna live our life
(僕たちは自分たちの人生をいきるんだ)
No matter where the people goes.
(人々がどこへ向かうとか関係ない)

We Don’t need the hope to light our eyes.
(僕たちにはもう希望もいらない)
We Don’t need to dream … any more.
(夢を見る事もなくていい)
We can tell the world
(僕はここに宣言する)
All I need is You
(必要なのは君だけ)
We can tell the world
(二人で宣言しよう!)
Without a word
(でも言葉は必要ないね)
Without a word
(言葉は必要ないね)

 

『鈴木勝秀(suzukatz.)-190110/ホロン』

僕がサラヴァ東京=ラボ(実験室)で2ヶ月おきにリーディングをやっていたのは、2012年9月〜14年1月のことだった。
実に多くの実りがあった。
だが僕のメイン・ラボだった青山円形劇場同様、サラヴァ東京もなくなる。
感傷的な気持ちはまったくないが、最後にもう一発何かやりたいと思った。
というわけで、篠井英介さんと大嶋吾郎くんとで、"super noisic reading"をやらかします。
「すべてのものは何かの全体であり、何かの一部である」
鈴木勝秀(suzukatz.)

1809-6週間/booklet

偉大なるチャレンジャーたち

すでに大いなる成功を遂げた作品を新たに作り直すというのは、実にやりがいがあると同時に、もちろん難しいことである。
しかし日本における翻訳劇のほとんどは、すでにその作品の本国で、さらには諸外国で、それ相応の評価があるものがほとんどである。であるから翻訳劇を多く演出してきた僕にとって、傑作の誉れ高い『6週間のダンスレッスン』を新演出で作り直すことも、いつもの作業とそれほど大きな違いはない。戯曲だけに集中して自分の演出プランを練り、信頼するスタッフと配役された俳優にそれを委ねていく。『ディファイルド』『欲望という名の電車』『ベント』『サド侯爵夫人』『サロメ』……どれもそうしてきた。

だが、自らの手で傑作を作り上げ、200回にも及ぶ公演回数を積み重ね、その作品をライフワークにまでした女優にとって、新演出(しかも新しい上演台本)に挑むということは、草笛光子という稀有なチャレンジ精神を持った人間にしかできないことだ、と僕は思っている。だってそうでしょ、『6週間のダンスレッスン』は傑作で、大評判で、複数の演劇賞を受賞したんだし、チケットだって売れるんだから、あえて新演出なんかにしなくても、誉められるだけで誰からも何も言われやしない。だが新演出を希望し、自らに難行苦行を強いたのは、ほかでもない偉大なるチャレンジャー、草笛さんご本人なのである。
僕は新演出のオファーを受けたとき、まず驚き、そして無上の喜びに包まれた。僕はチャレンジャーを愛す。チャレンジャーにこそ魅了される。なぜなら、チャレンジャーは未来に生きているからだ。演劇に完成品はないし、成功も失敗もないと僕は考えている。あるのは可能性という未来だけ。

「マイケルはね、もうずっと前から決めてあるの」

草笛さんの熱烈なるラブコールに、臆することなく応えた松岡の男気にも打たれた。
「オレはオレのマイケルをやります」
稽古初日からそう宣言し、松岡はまさにマイケルのように稽古場を牽引した。過去をなぞろうともしない──松岡も本物のチャレンジャーだ。稽古場ではその心意気にとても助けられている。
そして、そんな草笛さんのチャレンジを快く引き受けた、プロデューサーの江口さんをはじめとする各スタッフの勇気にも大いに心打たれた。

僕がどんな演出を加えようと、『6週間のダンスレッスン』は心に沁みる名作です。現代社会が抱える様々な問題の解決のヒントが、散りばめられています。どうそ、ごゆっくりお楽しみください。

鈴木勝秀(suzukatz.)

『BOSS CAT』イントロダクション

中世なのか、現代なのか、近未来なのか、一人の粉挽きが死んで、その残した財産を、三人の子供たちで分けることに。財産は、粉挽き会社と貯金や株の動産、それと一匹のネコ。会社は長男、動産はヤリ手の三男が相続し、ぽんやり次男はネコしかもらえず。ところがこのネコ、稀代の詐欺師で──

『BOSS CAT』は、17世紀のフランスの童話作家シャルル・ペローの『長靴をはいた猫』をベースに、新たに脚本化したものである。『BOSS CAT』というタイトルは、原題の『猫の親方あるいは長靴をはいた猫』というところから発想した。ペローの童話は、グリム童話より古く、露骨な性描写、残虐シーンなど、到底子供向けとは言えない。ファンタジーの体は取っているが、かなりパンクなムードに満ちている。Punk Fantasyとしたのは、もちろん京本大我のパンキッシュなムードにもよるが、ペローの文体へのオマージュである。

『BOSS CAT』ご挨拶

「バカ芝居」

この芝居は、その……「バカ芝居」です。出てくるのはバカばかり。ネコは当然、王さまだろうが、姫だろうが、全部バカです。ですがここ数年、僕は自分もバカのひとりであることにようやく自覚がでてきました。以前は控えめに言っても、自分はわりと利口なんじゃないか、と思いながら生きていたかもしれません。ですが人類全体がバカの集まりであることは、何と言うか、とても救いがあるような気がしています。「歌って踊って芝居して......どっこい今日も生きている」本来、人間は強い。何があろうと生きていこうとする。しぶとい生き物なんです。そういう強さをこの芝居を見て感じていただけたら幸いです。

本日はご来場、誠にありがとうございます。最後までごゆっくりお楽しみください。

鈴木勝秀(suzukatz.)

1804-GJ/booklet-180401

『GJ』はオフィシャルでは「ジー・ジェイ」と読むことで統一されておりますが、個人的には「ギジ」と読んでいただけるとうれしいです。だったら『GIJI』と表記しろ、というご意見もあるかと思いますが、脚本を書いた本人としましては、あえて「I」を抜くことで「私」を見失っている、という意味を持たせてみた、という感じです。
劇場は虚実に満ちている場です。舞台上では、すべてがニセモノのはずなのに、ある瞬間、とてもリアルなものに変質し、演じた役者、それを目撃した観客の心に突き刺さり、真実を垣間見せることがあります。そのような衝撃的な体験には中毒性があり、一度経験すると、もう一度、もう一度と深く深く求めてしまうものでもあります。僕はこれまで、そんな中毒者を本当に数知れぬほど見てきました。もちろん、僕もその一人です。で、今回、HPCの3人も完全な中毒者にしてやろうと思っているわけです。
鈴木勝秀(suzukatz.)

1801-GANTZ/booklet

稽古しながら考えたこと

原子の寿命はほぼ永遠らしい。そして人間は死ぬと、いったんその個体を形成していた原子に分解され、宇宙空間に放り出されるそうだ。だが原子は消滅することなく、再び他の原子と結びついて、何かを形成する。その何かが、再び人間である可能性もあるわけだ。つまり原子レベルで見ると、不死、転生などは、起こり得る。
GANTZによって、玄野たちは際限なく甦らされ、際限なく戦うことを強いられる。死ぬほどのダメージを受けても、甦ることができるのは、初めのうちは「救い」に思える。しかし、何度も復活し、何度も戦場に送られ、恐怖に怯え、友人や仲間の死を見せられ、敵を殺し続けなければならないのは、決して「救い」なんかではない。それは「試練」だ。では、なぜそんな「試練」を受けなければならないのか?そして、その「試練」の先に得られるものはいったい何なのか?
もし、自分が一個の原子なら、転生だけは勘弁してほしい。できれば、来世は水にでもなって、雲になったり、雪になったり、海になったりして、のんきにふらふらしていられるのがいい。

鈴木勝秀(suzukatz.)