『BOSS CAT』イントロダクション

中世なのか、現代なのか、近未来なのか、一人の粉挽きが死んで、その残した財産を、三人の子供たちで分けることに。財産は、粉挽き会社と貯金や株の動産、それと一匹のネコ。会社は長男、動産はヤリ手の三男が相続し、ぽんやり次男はネコしかもらえず。ところがこのネコ、稀代の詐欺師で──

『BOSS CAT』は、17世紀のフランスの童話作家シャルル・ペローの『長靴をはいた猫』をベースに、新たに脚本化したものである。『BOSS CAT』というタイトルは、原題の『猫の親方あるいは長靴をはいた猫』というところから発想した。ペローの童話は、グリム童話より古く、露骨な性描写、残虐シーンなど、到底子供向けとは言えない。ファンタジーの体は取っているが、かなりパンクなムードに満ちている。Punk Fantasyとしたのは、もちろん京本大我のパンキッシュなムードにもよるが、ペローの文体へのオマージュである。