LUCKY ROCK BELL 03

早大劇研には毎年20〜30人は入会するが、3年くらいまでにだいたい5人以下になる。
そのかわり残ったものは、かなりの確率でスタッフ、キャストともにプロになる。
同期の男で3年まで残ったのは僕とこの2人だけだった。
女子で残ったのは高泉淳子1人。
岩谷も吉田も役者一筋で、すでにこのころプロになることを意識していた。
演出志望は僕だけだった。
二人とも既製戯曲をやることに意欲的で、しかも二人とも役者としての能力が抜群に高かった。
僕のLRB企画の提案はすんなり受け入れられ、演出は自明のことのように僕ということになった。
「じゃあ、まず登場人物3人の戯曲をやってみよう!オレはジュネの『女中たち』がいいと思うんだけど、どう?」
「いいんじゃない」
さっそく、自分の所属する大/早稲田攻社の主宰者が幹事長で、僕も書記に名を連ねる運営委員会に届けを出し、OKをもらう。
こうして僕は労せずして、劇研のトップレベルの役者二人と演出家のポジションを獲得した。