word processors 02

次に手に入れたワープロは、友人から1万円で購入した富士通オアシスだった。
ずっとB5サイズでやってきたので、A4サイズに馴染めずに、最初のころはB5サイズで書いていた。
画面はページの半分ぐらい表示することができるようになり、作業は断然ラクになった。
それでも、5ページくらい書くとプリントアウトをしていた。
ワープロに着いているインクリボン式プリンターは速度が非常に遅いから、定期的に打ち出しておいた方がいいし、休憩にもなって、仕事のリズムを作り易かった。
とにかく、最後に一気にプリントアウトすると、1時間くらいかかったのだ。
そのころ、テレビドラマなども書き始めていた。
テレビは、打ち合わせ→プロット→第1稿から始まって、打ち合わせ→直しの連続になる。
〆切が次々とやってくる。
それもだいたいが深夜まで打ち合わせしといて、「じゃあ、明日まで」とかいう、無茶な〆切ぶりなのだ。
だが、〆切を守らないと大したことない新参者は信用を失う。
信用を失えば、仕事は来ない。
なので、プリントアウトとファックスの送信時間をあらかじめ計算に入れて、書き仕事をした。
自分が書く速度を知るのも重要で、A41枚を何分で書けるのか、というのもこのとき学習した。
テレビは長さが決まっているので、何枚書かなければいけない、というのがほぼ決まっている。
だから、1枚書くのに必要な時間×枚数+プリントアウト+ファックス送信で導かれる時間が、〆切までの必要最小時間なのだ。
つまり、そこまでにスタートしていなかったら、絶対に〆切を超える。
とてもいい訓練になった。
初代iMacが登場するまで、ずっとこのオアシスで書き仕事をして、フロッピーに記憶させた。
『THIRST』『ソカ』『シープス』『銀龍草』『ウエアハウス』『LOONY』『C.B.』『セルロイドレストラン』『セカンド・ハンド』などはフロッピーの中にある。
LYNX』も再演に際して、打ち直してデータ化したのでフロッピーにある。
オアシス自体どこにあるのか定かではないが、自分では捨てた記憶もないので、今でも実家のどこかにあるかもしれない。